立体コピーは触図と点字の混じった図を作成できる利点がありますが,これで作成した点字は触読しづらいことが少なくありません。これは,立体コピーによる盛り上がり部の発泡特性を考慮に入れず,一般の点字と同じ寸法で点字を作成しているためと考えられます。
そこで,立体コピー原図の点字(墨点字)の点径と点間隔の寸法をさまざまに変化させて作成した立体コピー点字を使って,点字使用者を対象とした触読実験を行い,どのような寸法のものが触読しやすいかを調べました。
すると,点径については標準の点字の点径より小さい1.17 mmまたは標準の点径寸法である1.43 mmで,かつ,点間隔については標準の点字寸法の1.05倍から1.15倍広い条件の読材料では,読み時間が短く,誤読が少なく,かつ読みやすさの評価が高かいという結果が得られました。他方,点径が大きく点間隔が狭い条件は読み時間が長く,誤読が多く,読みやすさの評価が低いという結果になりました。
その原因が,立体コピーの盛り上がり特性による点同士のつながりにあるのではないかと考え,点字形状の3次元計測を行ったところ,下図のように,触読しやすいと評価された条件の点(左の図)が独立しているに対し,触読しにくいと評価された条件の点では,点と点がつながっている様子(右の図)が確認されました。
触読しやすかった点字の断面図の例 触読しにくかった点字の断面図の例
Last updated: 2009年4月15日
Copyright (C) 2001-2009 渡辺哲也