会議の正式名称は,Fourth International Conference on Multimedia and Information and Communication Technologies in Education(教育におけるマルチメディアとICTに関する第4回国際会議)である。今回,スペシャルセッションとして「特殊教育ソフトウェア」が企画され,こちらへの発表の打診が事務局よりあったので,申し込み,採択された。
2006年11月22日から25日まで4日間の会期の中で組まれたのは,口頭発表が106件,ポスター発表が264件であった。口頭発表は,会期のうち3日間は一つの会場で(写真1),残る1日は二つの会場で開かれた。口頭発表の持ち時間は質疑応答を含め1人15分と短い。ポスターは,口頭発表会場入口前の広い通路に並べられた。
渡辺は,"Practical use of interactive tactile graphic display system at a school for the blind (2)"(盲学校におけるインタラクティブ触覚ディスプレイの実利用)というタイトルで発表した。点図ディスプレイ(触覚ディスプレイ)にペン入力機能を付けることで,描画機能,触覚アニメ機能,ゲーム機能を可能としたシステムを我々は開発してきた。これを,福島県立盲学校の協力を得て,実際の授業の中で活用してもらった例を海外に紹介するのが発表の目的である。その趣旨は,2005年の触図に関する国際会議における発表と同じだが,2005年の新しい活用事例を発表に盛り込んだ。研究背景やシステムの説明は短く絞り,授業での活用例をビデオで紹介することに主眼をおいた。発表後の質問は,システム利用時の効果音の重要性と,点図ディスプレイとパソコンとのインタフェースについて尋ねるものだった。インタフェースをうまく制御できれば,Webベースで遠隔的に活用できるのでは,という意見も出された。
ポスター発表の内容を見て回る限り,教育学の専門家より,ICTの専門家の方が多く参加しているように感じた。
会場となったセビリア大学のあるセビリアは,スペインの首都マドリッドから南西へ400km,スペインの新幹線AVE(写真2)を使って2時間半の距離である。1992年には万博が開かれ,その跡地とパビリオンの建物をセビリア大学は利用している。このため,奇妙な外見をした建物が多く(写真3から5),また有効活用されていない跡地を見るのは寂しい限りである(写真6)。
セビリアは元々城壁に囲まれた街で,城壁内の旧市街地は狭い道が複雑に交差している(写真7)。その景色は味わい深いが,狭く暗い道を夜に一人で歩くのは少し勇気が必要だった(写真8)。セビリアはフラメンコと闘牛(写真9)の発祥の地で,名物はシェリー酒(スペイン語ではJérez[へレス]。英語のSherryはこれが転訛したものらしい)。ほかに,おみやげ物屋ではタイルもよく売られていた。
発表原稿は,下記よりダウンロードできます。
左上から順に,写真1:口頭発表会場,写真2:スペインの新幹線AVE,写真3:会場の建物,写真4:セビリア大学の建物2,写真5:セビリア大学の建物3,写真6:有効活用されていない万博跡地,写真7:車1台が通るのせいぜいの狭い通り,写真8:夜の通りの風景,写真9:闘牛の像。
Last updated: 2006年11月27日
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