既存の漢字の構成読みでは,部品が3つ以上の入れ子構造のものに対して括弧を使った構成読みの説明を行っていた.しかし,その説明では部品の位置を間違うことが多いという問題点があった.そこで本研究では,最初に漢字全体の構成を説明する手法と,漢字の部品の位置関係を上下左右の組み合わせで説明する手法の2種類を考案し,その有効性を調べる実験を行った.
 その結果,有意差はないものの,考案した2つの手法の方が配置正答率が高かった.また,部品の分かれ方によっては,従来の構成読みと配置正答率が変わらない漢字や,考案する手法の方が,かなり高い配置正答率をしているものもあった.
 基礎スキーでは,採点官がゴール付近で滑走者のターンを観察して評価を行うが,目視のみで細かな動きを正確に判断することは難しい.本研究では,姿勢検出が可能なライブラリであるMediaPipeを使用し,コンピュータで滑走時のターン姿勢を分析することで,機械的な評価を試みた.一般的に,優れたスキーヤーは左右対称のターンを行うので,男性1名の左右のターンマックス時(ターンの軌道が最も外側に膨らむ瞬間)の姿勢を比較した.その結果,左ターンの方がアンギュレーション(くの字)姿勢を取り,腕を上げる傾向にあることが確認できた.しかし,今回の方法では,外腰や外肩の正確な角度を算出することは難しく,評価精度が低かったため,改善する必要がある.
 本研究では, 平板図形, 凸線図, 凸面図の3種類における形状の理解のしやすさに差が生じるかを調べるため, 若年視覚障害者と若年晴眼者を対象に実験を行った. さらに, 視覚障害の有無や年齢, 視覚障害者における先天性と後天性の違いが影響するかを調べるため, 高齢層のデータを併せて分析した. 結果, 平板図形の正答率が最も高く, 触察時間が最も短かった. 視覚障害者は凸面図で高い正答率を示し, 晴眼者は凸線図で高い正答率を示した. また, 若年層は高齢層に比べて触察時間が短く, 年齢層による触察時間の違いが確認された.
 網膜硝子体手術を受けた患者は,術後数日は腹臥位を維持する必要がある.しかし,就寝中は意図せず寝返りが起こるおそれがある.そこで本研究では,寝返りを早期に検出するため,小型マイコンを用い,体軸回りの角度をリアルタイムでモニタリングするシステムを試作した.本システムの精度の評価実験の結果,姿勢計測に十分な精度を保持していると確認した.一方で,装着部位が腰部であるため,計測した角度と頭部の角度が一致しない場合があり,さらなる改良が必要である.
Last updated: 2025年5月15日
Copyright (C) 2025 渡辺哲也