平成29年度卒業研究テーマ

■ 研究テーマ一覧

学部4年生


■ 音声出力タッチインタフェースにおける文字入力方法の比較(今田 友浩)

タッチインタフェースを音声出力で使用している画像

 タッチインタフェースを音声出力で使用するには触知できる手がかりが少なく,視覚障害者には操作が難しい.特に文字入力では様々な入力方法が存在するが,どの方法が使いやすいかといったデータは現在存在しない.そこで本研究では,様々存在するスマートフォンでの文字入力方法において,どの方法が使いやすいか実験をもとに考察・検討を行った.実験では4種類の入力方法を選定し,被験者20人を4つの群に分け,各群に1種類を割り当て5日間連続で文字入力練習を行った. その結果,すべての入力方法で5日間の間に速度・精度ともに上昇した.入力速度は,テンキーのスプリットタップによる入力が一番速いという結果だった.入力精度は,日が経つにつれてエラー数は少なくなるが,4,5日目にエラー数が最大となる傾向が見られた.その理由は,操作が習熟するにつれて手の動作が速くなり,使用者の操作と音声フィードバックとの間にズレが生じるためであると分かった.



■ 視覚障がい者用音声出力機能付き点字学習支援機器の開発(外山 遼太郎)

開発した点字練習機の画像

 点字は視覚障がい者にとって重要な世界共通の文字表現である.点字を利用するためには,まず始めに点の配置と文字との関係を覚える必要があるが,日本語の音声出力機能付きの学習教材は少なく,高価で入手が難しい.そこで,本研究では1文字分の点の配置と対応する文字との関係を,日本語の音声出力付きで手軽に学習できる装置を開発した.押下すると突出する構造の6つのボタンスイッチで点字1字の並びを表現し,発声ボタンを押下すると対応する1字が発声される.装置の寸法は掌に収まるよう,高さ40mm,横幅60mm,奥行85mmとし,電源は直流5VをPCからUSBケーブルで給電する.今後は,評価実験などを行い,改良を重ねていく.



■ 立体模型の触察における模型の大きさの変化が外形の認識に与える影響(佐藤 加奈)

実験に使用した世界遺産の3D模型

 視覚障害者の触察において実物や模型などの立体は具体的なイメージを持ちやすい.しかし,視覚障害者にとって認識しやすい立体模型の大きさの指標は定まっていない.そこで本研究では,3Dプリンタによって製作した立体模型の大きさの変化が視覚障害者の外形の認識にどのような影響を与えるのか,実験により検証した.実験では被験者に立体模型の触察の後に模型の特徴に関する質問に回答してもらった.模型は6つの世界遺産の建築物とし,建築物ごとに3種類の大きさの模型を用意した.実験の結果,どの建築物でも一番大きな模型が分かりやすいということが分かった.その理由として,建築物の特徴部分に被験者の人差し指が入りやすかったことが挙げられる.



■ 皮膚上の摺動刺激の知覚における刺激の移動速度の効果(松田 春菜)

実験に使用した刺激装置の画像

 皮膚への摺動刺激は,情報伝達を行う際の一つの手段となる.本研究では,移動速度を変化させることによって皮膚の知覚にどのような影響があるのかを検証した.実験では,晴眼者7名を対象に,二つの実験を行った.まず一つ目に,移動する対象が左右どちらに移動したか判別する実験を行った.その結果,速度によらず高い正答率で左右の判別が可能であることが分かった.二つ目に,2種類の速度を提示し,速い/遅いを判別する実験を行った.その結果,提示した2つの刺激の速さが広がるほど高い正答率で速い/遅いが判別可能なことがわかった.



■ 駅構内触地図作成支援Webアプリケーションの開発(毛利 祐太)

駅構内の地図とそれを触地図化した画像

 触地図は一般に原図を参考にしてドローソフトで作成される.駅構内の原図は主に各鉄道旅客会社がWeb上で掲載しているものを利用するが,これらの図は立体的に表現されているものが多く,トレースしただけでは平面図の触地図を作ることができない.また既存のドローソフトは機能が多様なため,操作に不慣れな人にとっては触地図作成が難しい.そこで本研究では駅構内の触地図を容易に作成できることを目的として,Webアプリケーションを開発した.アプリにはスタンプ機能を実装し,既存のドローソフトよりも簡単に駅構内の触地図作成が行えるようにした.また立体的に表現された図を平面図へ変換する機能を実装した.評価者にこのアプリを利用して触地図を作成してもらい,意見を得た.意見よりアプリの改善点を考察した.アプリはこちらで利用できます



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Last updated: 2019年4月18日
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