第27回北米リハ工学・支援技術国際会議

RESNA 2004参加報告

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 北米リハ工学・支援技術協会(RESNA: Rehabilitation Engineering and Assitive Technology Society of North America)が毎年開催する国際会議である。2004年は,フロリダ州オーランドにおいて,6月18日から19日の2日間にプレカンファレンスが,続く20日から22日までの3日間に本会議が開催された。本会議の主な内容は,午前最初の基調講演と,トラック,ポスターセッション,展示会である。

 トラックは他の学会のセッションに相当すると考えてよい。1時間15分の各トラックでは,テーマに関連した話題について平均して3人ほどの講演者が順番に登壇する。他の学会と異なるのは,トラックが終わるたびに聴講者は講演に対する評価用紙の記入を求められることである。これは,RESNAのトラックが研究成果を自主的に発表する場ではなく,支援技術に関する講義と位置付けられているからである。聴講者は,各トラック終了後に告げられる4桁の数字を記録して申請することで,国際継続教育・訓練協会(IACET: International Association for Continuing Education and Training)の単位(CEU:Continuing Education Unit)を認定される。単位を必要数集めることは,ATP(Assistive Technology Practitioner:支援技術実践者),ATS(Assistive Technology Supplier:支援技術販売者),RET(Rehabilitation Engineering Technologist:リハ工学技術者)という資格の認定につながる。トラックの評価は国際継続教育・訓練協会に送られ,RESNAのトラックが単位認定にふさわしいかどうかを判断する材料となるのである。一方,ポスター発表は,一般的な学会と同じ趣旨で催されている。

 展示会場の展示団体数は66,そのうちメーカー及び販売店が半数ほどである。この展示会場をのぞく特典は,米国障害研究普及センター(NCDRR: National Center for the Dissemination of Disability Research)が指定した全米22箇所のリハ工学研究センター(RERC: Rehabilitation Engineering Research Centers)の研究成果を一同に見られることである。視覚障害に関するリハ工学研究センター(RERC on Low Vision and Blindness)に指定されているスミスケトルウエル視覚障害研究所(SmithKettlewell Eye Research Institute)では,視覚障害者自身が操作可能な電子地図からの触図作成システムや携帯型LED文字認識(写真4)など,ユーザの視点からの着想と思われる研究成果が公開されており興味深かった。

 トラック,ポスターセッション,展示会のいずれにおいても,最も数が多いテーマは姿勢保持と移動(seating and mobility)である。展示会では,これに次いで拡大コミュニケーションの機器が目についた。RESNAと同様に,プレカンファレンスへの参加がCEUとして認められる「技術と障害者に関する国際会議」(International Conference "Technology and Persons with Disabilities")が毎年3月にロサンゼルスで開催されている。こちらでは視覚障害関連の展示ブースが最も多いので,これら両会議に参加することで,より幅広い障害種別に関して,支援機器の動向を知ることができる。

 RESNA関係者に尋ねたところ,事前登録者数は500人とのことだった。展示会場だけの見学は無料なので,当日の参加者数はこれより多いと考えられる。

展示会場入り口 展示会場内の様子 ポスター発表会場 携帯型LED文字認識

順に,写真1:展示会場入り口,写真2:展示会場内の様子,写真3:ポスター発表会場,写真4:携帯型LED文字認識

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Last updated: 2004年 9月 5日
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