速い話速音声に関する研究
科学研究費補助金(若手研究)による研究
[English]
■ 概要
スクリーンリーダが広く使われるにつれて,多くのユーザからソフトウェアに対する苦情・改善要望も寄せられています。そのうち,コンピュータとユーザとのインタフェースとなる音声に関するものを見てみると,画面上のオブジェクトやダイアログボックスに音声化されないものがあること,使用中に音声が全く途絶えてしまうことがあること,そしてスクリーンリーダの音声の品質に問題があること,などが大きな問題となっています。
学術的課題としては,3番目の音声の品質に着目し,その中でも特に音声の速さを研究課題に設定しました。具体的には,視覚障害者のコンピュータ利用における音声設定の実地調査を行いました。
スクリーンリーダを利用している視覚障害者のべ36人の合成音声の設定状況(音声の速度,高さ,声質の性別)を調べました。さらに,頻繁に利用されている音声設定の速度とピッチを実測したところ,以下のような結果が認められました。
- 音声の速さを最高速度に設定している回答者が最も多く,その速度は一般的な朗読音声の2倍ほどであった。
- 音声の高さは,初期値のまま変更していない回答者が最も多かった。そのピッチ周波数は,晴眼者を対象に調べた聴取に適したピッチ周波数と近い値であった。
- 声質の性別は,8割以上の回答者が男声に設定していた。
これらのデータは,視覚障害者用音声合成ソフトに関する研究を進めるための基礎資料として活用していきます。
■ 発表論文等
- 渡辺哲也, 視覚障害者用スクリーンリーダの速度・ピッチ・性別の設定状況, 電子情報通信学会論文誌D-I, Vol.J88-D-I, No.8, pp.1257-1260, August 2005.
- 渡辺哲也, 視覚障害者向け音声インタフェースに関する研究―合成音声の話速,ピッチ,性別の設定値に関する調査―, 電子情報通信学会技術報告, WIT2004-62, 東京, January 2005.
- 渡辺哲也, 視覚障害者のコンピュータ利用を考慮した速い話速音声に関する音響学的研究(国立特別支援教育総合研究所のサイトにジャンプします), 科学研究費補助金研究報告書, 特殊研F-117, February 2004.
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