触地図を使った視覚障害者の歩行実験(速報) 渡辺研究室触地図研究班 これまでの触地図は,目の見える人が長い時間をかけて作成するものでした。その労苦を軽減し,更に視覚障害者自身が作成できるシステムの開発を目指して,平成20年度に研究を開始しました。 平成20年度には国土地理院の地図データを利用して自動触地図作成システムを開発しました。 平成21年度は新たに,株式会社昭文社の地図データを用いることで,コンビニエンスストアやガソリンスタンドなど,視覚障害者が利用可能な聴覚的・嗅覚的なランドマーク(過去の文献にもとづく)を地図上に表現しました。これらを中間目標点とすることで,視覚障害者が目的地にたどり着けることを検証するため,歩行実験をおこないました。 期日:平成21年9月5日 歩行ルート: (1)東京メトロ東西線西葛西駅から江戸川区スポーツセンターまで (2)東京メトロ東西線門前仲町駅からから富岡八幡宮まで (3)東京メトロ日比谷線八丁堀町駅から東京証券会館まで 結果:店舗や交叉点などの中間目標点を予測することでルートの立案と単独歩行が可能となることが示されました。他方で課題として,開けた空間を路地と間違う,コンビニエンスストアより飲食店の方が地図への掲載が望まれる,などのことがわかりました。 今後,更に詳しくデータを検証し,システムの改良を進めます。 下の地図と写真では,コース(1)を歩く様子を示します。 写真1:出発地の西葛西駅 写真2:交叉点を確認しながら進行 写真3:地図にある信号かどうか確認中 写真4:狭い歩道は自転車でいっぱい 写真5:センター駐車場入口は路地のようだが,地図にはない 写真6:無事,目的地に到着